人と環境にやさしいナチュラルクリーニングに使われる重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水。
100均やドラッグストアに並び、テレビ番組でも取り上げられやすいナチュラル洗剤ですが、上手な使い分けが難しいですよね。
(どの汚れにどれがいいんだっけ?…っとなりがち…(^^;)
ここでは、重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水の特徴がひと目でわかるpH表とそれぞれの特徴や使い分けなどを紹介していきます。
汚れの性質に合ったナチュラル洗剤を使い分け、家の掃除に役立ててくださいね。
重曹・クエン酸・セスキ・アルカリ電解水の違い
洗剤には、酸性・弱酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性というように、pH値によりどんな汚れに効果があるのか違います。
まずは4つのナチュラル洗剤である、重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水のそれぞれのpH値をまとめた比較表をご覧ください。
pH値を踏まえ、それぞれの特徴・違いを紹介していきます。
ナチュラル洗剤のpH値比較表
水はpH値が7と中性になります。食器用洗剤に多い中性洗剤もここにあたります。
- 重曹は弱アルカリ性/pH8程度
- セスキ炭酸ソーダは弱アルカリ性/pH9程度
- アルカリ電解水は強アルカリ性/pH12~13程度
- クエン酸は酸性/pH2程度
重曹やセスキ炭酸ソーダは弱アルカリ性で比較的やさしい洗浄力となっており、アルカリ電解水は強アルカリ性で強い洗浄力を持っています。
反対にクエン酸は酸性で、重曹やセスキ炭酸ソーダ、アルカリ電解水とは違った性質であることが分かります。
重曹の特徴
重曹は別名『炭酸ソーダナトリウム』といって、料理の際にベーキングパウダーとして使ったり、胃薬の成分として使われたりしています。
アルカリ性なので酸性の油汚れや焦げに強い洗剤です。pH値は8程度の弱アルカリ性で手荒れの心配がほとんどありません。
食品にも添加されるとあって安全安心に使えると、小さいお子さんやペット、高齢者がいるご家庭などで人気のナチュラル洗剤となっています。
人気の理由はほかにもあり、重曹は粉のまま、ペーストとして、重曹水として、加熱して使うなど、あらゆる形状で汚れに合った使い方ができるので使い勝手が良いんですよ。
粉を溶かして使うことが多いのでコストパフォーマンスが高く、お財布にもうれしいですよね。
消臭や吸湿効果もあるので家中さまざまなところで大活躍してくれます。
セスキ炭酸ソーダの特徴
セスキ炭酸ソーダはセスキ炭酸ナトリウムとも呼ばれており、入浴剤などに配合されています。
重曹と同様に人と環境にやさしいナチュラル洗剤として知られており、重曹よりもサラサラとした結晶状の粉で水に溶けやすい性質を持っており、洗濯にも使用することができます。
アルカリ性なので酸性の油汚れだけでなく、血液といったたんぱく質汚れにも効果的です。
pHは9程度で重曹よりもややアルカリ度が高いのですが、重曹と同様に手荒れの心配もほとんどありません。
ただ、重曹と違って研磨効果はないので、使い方が水に溶かして使うのみに限られてしまいます。
ですが、重曹と同様にセスキ炭酸ソーダも水に溶かして使うので経済的ですね。
アルカリ電解水の特徴
アルカリ電解水は、水に電気を流してマイナス(アルカリ)の部分だけを取り出した100%水からできている洗浄水。
pHは12~13ほどと強アルカリ性を示し使用中は顔や肌に触れないよう注意が必要ですが、乾くと水になるため安心です。
100%水から作られているので掃除後に洗剤が残ることはありません。
アルカリ度が12以上になると除菌できるので、アルカリ電解水を使えば掃除と同時に除菌効果が得られますよ。
アルカリ電解水はスプレーボトルで販売されているので、水に溶かして使うことが多い重曹やセスキ炭酸ソーダと比べるとコストパフォーマンスが悪いといえるでしょう。
ですが、重曹などのように溶かす手間も2度拭きする必要もなく、スプレーするだけで油汚れなどがスッキリ落ちるので、浸け置き以外の掃除にはアルカリ電解水がおすすめです。
クエン酸の特徴
クエン酸は果物や梅干しに含まれる酸味の部分で、お酢などと同じ部類ですが掃除に使うとどうしてもお酢のニオイが部屋に充満してしまうのが難点ですよね。
その点クエン酸は、揮発性がないので使用時にツンとしたニオイがないのが特徴です。
揮発性がないので蒸発してもクエン酸の成分がそのまま残り、雑菌の繁殖を防いだりアルカリ汚れを予防する効果が期待できます。
ただし、成分が残ることで傷む可能性がある材質は、しっかり水で流したり、重曹水などを使って中和させる必要があります。
クエン酸は、酸性のパワーでカルシウムを溶かす性質を持っているため、水垢や尿石を落とすのに効果的。
あまり知られていませんが、まな板や三角コーナー、カーテンやクッション、トイレの消臭にもgood◎
クエン酸スプレーとしてだけでなく、粉のままクレンザー代わりとして頑固な水垢落としにも使うことができますよ。
4つのナチュラル洗剤の使い分け
ここからは、重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水のより詳しい使い方をご紹介します。
それぞれの得意な汚れを知り、適切な洗剤を選んで掃除していきましょう。
洗剤 | 得意な汚れ | 使い方 |
重曹 | 油汚れ・皮脂汚れ・汗じみなどたんぱく汚れ・フライパンや鍋の焦げ落とし・消臭・除湿 | 粉のまま 重曹ペースト 重曹水 |
セスキ炭酸ソーダ | 油汚れ・皮脂汚れ・消臭・血液を含むたんぱく汚れ(重曹より汚れ落ち効果が高い) | セスキ炭酸ソーダ水 洗濯は粉のまま |
アルカリ電解水 | 油汚れ・皮脂汚れ・汗じみや血液などたんぱく汚れ・食べこぼしのシミ抜き・除菌・ヤニ落とし(重曹やセスキ炭酸ソーダより効果が高い) | スプレータイプなのでそのまま使用 |
クエン酸 | 水垢・尿石・アンモニア臭・タバコのニオイ・石けんカス・消臭・殺菌 | クエン酸ペースト クエン酸水 |
重曹は油汚れ、焦げ落としに
重曹は、粉のまま・重曹ペースト・重曹水スプレーとしての使い方があります。
キッチン周りの油汚れ・皮脂汚れ・頑固な油汚れや焦げ付き・消臭効果や除湿効果が期待できますよ。
粉のまま使う
粉の状態の重曹を使うときは、容器に入れて靴箱などに入れておくと消臭や除湿効果が期待できます。
また、油を吸着する作用もあるので、換気扇フィルターに振りかけて油を吸着させてから、歯ブラシなどでこすり落とす方法もありますよ。
重曹ペースト
粉状やペースト状の重曹は研磨作用があるので、こびり付いた焦げなどの汚れをこすり落とすことも可能です。
重曹ペーストは重曹と水を3:1の割合で作ることができます。
漂白剤と混ぜると
重曹と酸素系漂白剤を混ぜて使うと、襟の皮脂汚れ・汗じみを落とすことができます。
粉状の酸素系漂白剤の場合は、60℃程度のお湯と混ぜてペースト状にしましょう。
汚れが気になるところに重曹+漂白剤ペーストを塗り、ドライヤーで温めながら歯ブラシなどでトントンと叩き洗いします。
しっかりすすいで乾燥させましょう。黄ばみが落ちるまで洗剤塗布→すすぎ→乾燥を繰り返してください。
黄ばみが取れたのを確認できたら、洗濯機に入れて通常通り洗濯しましょう。
(関連記事:洗濯物が汗臭い3つの原因と汗臭さを取る4つの方法)
重曹水
重曹水は、水200mlに小さじ2杯の重曹を溶かして作ります。
電子レンジの掃除では、水500mlに重曹小さじ1杯で作った重曹水をレンジにかけて重曹が混ざった蒸気を庫内に行き渡らせます。
冷めたら布などで浮き上がった油汚れを拭き取って水拭きし、乾燥させたらキレイになりますよ。
スプレーボトルに入れればキッチン全体の油汚れだけでなく、フローリングの食べこぼしやお風呂の皮脂汚れもスプレーして拭き取れば、たいていの汚れは落とすことが可能です。
また、ゴミ箱にスプレーすれば、生ごみ臭を消臭することができますよ。
重曹水を加熱するとアルカリ度が増す
鍋やフライパンの焦げ付きは重曹水を加熱したもので簡単に落とすことができます。
水3Lに重曹大さじ3杯ほど入れてから火にかけます。
60℃以上になると重曹水のpHが強アルカリ性になるので、焦げの部分をつけて冷めるまでそのまま置きましょう。
冷めたら軽くこするだけで焦げを落とすことができるので、キレイになったら水でしっかりすすいでください。
換気扇や五徳、魚焼きグリルなど油汚れがひどいものも、加熱した重曹水に浸け置きするだけで簡単に油汚れを落とすことができますよ。
(関連記事:重曹の掃除への使い方13選!効果を高める方法や注意点など)
セスキ炭酸ソーダは手垢や血液などたんぱく汚れに
セスキ炭酸ソーダは主にセスキ炭酸ソーダ水スプレーとして使います。
洗濯の場合は粉のまま使用しましょう。
セスキ炭酸ソーダ水
水500mlにセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯入れて、基本のセスキ炭酸ソーダ水を作りましょう。
汚れが落ちないときは濃度を上げて作ると良いですよ。
キッチン・お風呂・トイレ・フローリングなど、油汚れや皮脂汚れ、食べこぼしが気になるところにセスキ炭酸ソーダ水をスプレーし、数分置いてから布などで拭き取りましょう。
消臭剤代わりに
重曹と同じようにセスキ炭酸ソーダ水にも消臭効果が期待できます。
生ごみ臭やソファーやクッション、洗濯かごの消臭に便利です。
直接肌が触れるソファーやクッションに使用した場合は、最後に乾拭きして水分を拭き取っておきましょう。
セスキ炭酸ソーダの加熱
キッチンの五徳・換気扇フィルターなどの部品・ステンレス製の小物など・カトラリーは、セスキ炭酸ソーダ水を加熱したものを使えば、しつこい油汚れなどを落とすことができます。
セスキ炭酸ソーダ水を60℃以上になるまで加熱、またはぬるま湯にセスキ炭酸ソーダを溶かしましょう。
お湯3Lに対してセスキ炭酸ソーダを大さじ1杯入れましょう。
冷めるまで浸け置きし、スポンジで磨けばキレイに汚れが落ちるはずです。
ステンレス製品やカトラリーのくもりもキレイに取れてピカピカに蘇りますよ。
粉末のセスキ炭酸ソーダ
血液が衣類などに付いてしまうとなかなか落ちないのですが、すぐにセスキ炭酸ソーダを使えば簡単に落とすことができます。
ぬるま湯を使ってセスキ炭酸ソーダを粉のまま少量ずつ振りかけて揉み洗いしましょう。
血液が取れたらすすいで、あとは通常通り洗濯機に入れて洗濯するだけでOKです。
(関連記事:セスキ炭酸ソーダの使い方15選!手垢・油汚れの掃除に大活躍)
アルカリ電解水は油、皮脂汚れと除菌に
アルカリ電解水はスプレータイプなのでそのまま使いましょう。
重曹やセスキ炭酸ソーダと比べて汚れ落ち効果がバツグンに高く手軽に使えるのが魅力ですが、浸け置きには大量のアルカリ電解水が必要になるので不向き。
しかし、除菌効果も期待できるので、家中あらゆるところを掃除しながら除菌することができますよ。
油汚れや皮脂汚れ
キッチンのあらゆる油汚れや、ドアノブや照明のスイッチ、窓ガラスに付いた皮脂汚れ、リビングのテーブルやフローリングの掃除についでに除菌もできます。
汚れ具合によっても変わりますが、スプレーして30秒~5分ほど置いてから拭き取りましょう。
茶渋落としに
アルカリ電解水をスプレーしてラップで覆ってパックすると、茶渋も簡単にこするだけで落とせますよ。
タバコのヤニ落とし
また、重曹やセスキ炭酸ソーダと比べて汚れ落ち効果が高いので、タバコのヤニもサッとスプレーするだけで簡単に落とせます。
スプレーするとヤニが溶けた水が流れ落ちてくるので、布などで拭き取ってください。
消臭・除菌に
アルカリ電解水も重曹やセスキ炭酸ソーダと同じように消臭効果があるので、ゴミ箱や洗濯かご、魚焼きグリルなどニオイが気になるところにスプレーしておきましょう。
衣類の食べこぼし
うっかり衣類に食べこぼしてしまったら、すぐに当て布をしアルカリ電解水をスプレーして叩いていくと、簡単にシミを落とすことができますよ。
(関連記事:アルカリ電解水の掃除におすすめの使い方!ただしデメリットあり)
クエン酸は水垢、尿石落としに
クエン酸は、ほかの洗剤と違って酸性の洗剤です。
重曹・セスキ・アルカリ電解水で落とせない汚れの場合、酸性のクエン酸で落としてみましょう。
クエン酸は主に、水垢・尿石落としに効果があり、リビング・トイレなどの消臭除菌効果も期待できます。
クエン酸スプレー
水垢や尿石落としに
水200mlに小さじ1杯のクエン酸を溶かしてクエン酸水を作りましょう。スプレーボトルに入れておくと便利です。
お風呂の鏡や蛇口周りなど水垢が気になるところや、トイレの尿石にスプレーし、キッチンペーパーやラップ、尿石ならトイレットペーパーを貼り付けてパックしましょう。
2時間ほど置いたらスポンジなどでこすり落とします。
頑固な水垢や尿石の場合、1度では落ちにくいので何度か回数を重ねて落としていきましょう。
消臭・除菌
なかなか洗うことができないカーテンやソファー・クッション、ペット用品などの消臭にもクエン酸水は効果的。
スプレーしたら、固く絞った布などで拭き取ると、消臭と同時に除菌もできますよ。
粉のまま使う
頑固な水垢や尿石には粉のまま使ってクレンザーのようにこすり落としていきましょう。
また、重曹と合わせることで排水口に詰まったドロドロの石けんカスも落とせます。
重曹を排水口に振りかけたら、だいたい重曹の半量のクエン酸を振りかけていきます。
ぬるま湯をカップ1杯ほどかけると炭酸ガスが発生するので、発泡パワーで石けんカスが落ちてきます。
放置時間は長くても30分。あとは水でしっかりと流して完了です。
(関連記事:クエン酸の掃除への使い方21選!作り方、注意点など)
ナチュラル洗剤を使うときに気をつけたいこと
重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水は、人や環境にやさしく使える洗剤ですが、使用時には注意しなければならない点があります。
変質や変色の原因になるなど使えない素材もあるので、しっかり頭に入れておきましょう。
アルカリ性洗剤は物の材質に注意
重曹・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水は「アルカリ性」の洗剤です。
アルカリ洗剤は以下のものには使えないので注意しましょう。
- 漆器
- 銅/アルミ/真鍮製品/金箔
- ニスが塗られた家具/コーティング加工がされたもの
- テレビの画面/パソコンの液晶モニター
- メガネ
- 皮革類/シルク製品
- 宝石類/貴金属
- 車の塗装面
クエン酸は塩素系漂白剤と混ぜない
「酸性」の性質を持つクエン酸は、塩素系漂白剤と同時に使うことができません。
一緒に使うと有毒ガスが発生して大変危険なので注意しましょう。
もし、排水口などの掃除でどちらかを先に使用した場合は、日を改めるか、よく水を流してから使用するようにしましょう。
クエン酸が使えない素材にも注意してください。
- 大理石などの石材
- コンクリート
- 鉄など錆びやすい金属
まとめ
重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水の特徴や使い方、それぞれの使い分け方がお分かりいただけたのではないでしょうか?
重曹・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水はアルカリ性で、順に汚れ落ち効果が高まっていきます。
私の場合、浸け置きには重曹やセスキ炭酸ソーダを、スプレーして落とせる汚れにはアルカリ電解水を、というように使い分けています。
クエン酸だけが酸性なので、水垢や尿石落とし、アンモニア臭やタバコ臭、リビングの消臭に効果的です。
汚れに合わせてこれらの洗剤を使い分けていきましょう。
重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ・アルカリ電解水を持っておくと、家中の掃除や除菌ができます。
あなたもぜひ活用して、エコなナチュラルクリーニングをはじめてみませんか?