墨汁がついた服は普段と同じような洗濯をしてもなかなか落ちないですよね。
最悪服を捨てることも覚悟する人も多いと思いますが、実は家庭にあるモノを使えば墨汁はきれいに落とすことができます。
ここでは、墨汁の落ちない原因をはじめ、効果的な墨汁の落とし方や洗い方などを紹介していきます。
時間が経ってしまった墨汁もしっかり落とせるのでぜひ参考にしてくださいね。
また墨汁の汚れを防いだり、洗濯を楽にする方法もピックアップしてるのであわせてご覧ください。
墨汁が落ちない原因は?
衣類に付く汚れは、皮脂などの油汚れや汗、泥、血液など落ちにくい汚れはありますが、家庭でもどうにか落とすことができます。
しかし、墨汁だけは洗濯しても完全に汚れを落とすことができず、洗いあがった服を見てガッカリしてしまいますよね。
なぜ、墨汁の汚れが落としにくいのか、墨汁の成分と特徴についてみていきましょう。
墨汁の成分「合成樹脂」が原因
昔ながらの墨汁は、膠(にかわ)系といって自然の原料から作られていましたが、最近の墨汁は樹脂系といってカーボンと合成樹脂を水に混ぜた簡易的な墨汁が主流。
学校で書道を習うときの学童向け墨汁や一般向け墨汁などは樹脂系のものがほとんどです。
樹脂系墨汁は、乾燥が早い・強い黒が出る・定着が早いため、使い勝手が良いと多く普及しています。
この樹脂系墨汁には、合成樹脂が配合されていると触れましたが、この合成樹脂は水と混ざらないカーボンを均等に水に混ざるようにする役割があり、乾いたときに紙に定着するよう接着剤の役割をします。
服に墨汁が付いて落ちにくいのは、墨汁に含まれる合成樹脂が原因だったのです。
衣類に付くと繊維の奥に固まり残る
墨汁には、カーボンを水に均一に混ぜる合成樹脂が配合されているのですが、この合成樹脂の働きによって墨汁が落ちにくくなってしまいます。
さらには、コピー機のトナーにも使われているカーボンという成分は、墨汁の成分として使用する際にナノ化されているため服に付くと繊維の奥まで入り込んでしまうのです。
ナノサイズまで細かくなったカーボンが繊維の奥まで入り込み、接着剤の役割も果たす合成樹脂によって固められる。
これが通常の汚れに比べ、墨汁汚れが落ちにくい理由だったのです。
家庭にあるモノを使った墨汁の落とし方4選!
墨汁には紙に定着するよう接着剤となる成分が含まれるため、衣類に付いたら乾く前になるべく早く洗い流すことが大切です。
しかし時間が経ってしまっても墨汁のやり方次第で落とすことができます。
ここからは家庭にあるモノを使った墨汁の落とし方を4つ紹介していきます。
昔ながらの方法:ごはん粒を練り込む
墨汁の細かいカーボンの黒い粉をごはん粒の粘着性を利用して落としていく方法です。
- 墨汁が染み込んでいる部分を濡らし、ごはん粒を数粒ずつ練り込んでいきます。
- ごはん粒が黒くなったら洗い流し、墨汁汚れが取れるまで繰り返しましょう。
- 最後に洗剤で洗い流し、いつものお洗濯をして完了です。
固形石鹸を使いこすり落とす
固形石鹸で墨汁の付いた箇所を繰り返しこすり落とす方法です。
お米を炊いていないとき、固形石鹸をお持ちであれば試してみましょう。
- 墨汁で汚れている部分を少し濡らし、石けんをこすりつけます。
- 汚れが拡がりやすいので外側から内側に向かってこすりましょう。
- 滲みによってさらに汚れが拡がるのを防ぐために、一旦すすぎます。
- 石けんでこする、すすぐ、の工程を繰り返して少しずつ汚れを落としましょう。
- 最後に洗濯機で洗って完了です。
歯磨き粉を塗り込む
ごはん粒の裏ワザと同様に、歯磨き粉ペーストに墨汁の汚れを移す方法です。
実際に落とした人の声によると、樹脂系の墨汁は落ちにくいそうです。
- 墨汁汚れの部分を少し濡らしたら歯磨き粉を付け、使い古しの歯ブラシでこすります。
- 手で揉み洗いしてすすぎます。
- 汚れが取れるまで1と2の工程を繰り返しましょう。
- 汚れが落ちたら洗濯機に入れて洗濯して完了です。
マジックリンと石けんを使う
出典:花王
時間が経ってしまったときや頑固で落ちない墨汁にはマジックリンと石けんの合わせ技で落とすことができます。
マジックリンは原液だと強すぎて衣類を傷める可能性があるので、2~3倍に薄めてから使いましょう。
- 薄めたマジックリンを汚れ部分に塗ります。
- 上から固形石鹸をこすりつけ、揉み洗いしましょう。
- 黒い汚れが浮いてきたらすすいで、1と2の工程を繰り返します。
- 洗濯機でいつものように洗濯して完了です。
墨汁を落とす際は「洗い方」に注意!
衣類に付いた墨汁の汚れを落とすときは、墨汁を広げないように洗うこと、が重要です。墨汁が滲むとさらに汚れが広がり落とすのが大変になります。
墨汁の汚れは外側から内側に向かい落とす
滲みそうならすぐに水で洗い流す
のい2点を徹底し墨汁の広がりを防ぎましょう。
また墨汁には黒い細かい粉が含まれ、繊維の奥底に入り込んだこの粉を落とす必要があります。
そのため上記2点に気をつけながら、こすり洗い・揉み洗いを繰り返しましょう。
ただし、デリケートな素材や色物の衣類は、傷んだり、色落ちしたりする場合があるので、目立たない箇所でテストしてからがいいですね。
(関連記事:ガムの取り方とは?服やプラスチックなど素材別のガムを落とす方法)
墨汁による衣類の洗濯を楽にする方法
墨汁の汚れを落とすためには、繰り返し洗ってようやく薄くなってくるので時間と手間がかかってしまいます。
衣類を汚さないためのポイントを3つご紹介します。
墨汁を使うときは黒い服を着る
書道教室などで墨汁を扱うときは、汚れてもよい服装で行いましょう。
とはいえ、いらない服でも墨汁の汚れが付いているのを見るのは気持ちよいものではありませんよね。
黒い服なら墨汁が付いても目立たないのでおすすめですよ。
墨汁が落ちやすい繊維の服を着る
墨汁は衣類の繊維によって汚れの落ちやすさが変わってきます。
綿などの天然素材は墨を吸収しやすいのですが、ポリエステルなどの化学繊維は比較的落ちやすくなっています。
墨汁を扱うときは、黒いポリエステル繊維のいらない服を着ると汚れても安心ですよ。
「洗濯で落ちる墨汁」を使う
出典:Amazon
練習用なら洗濯で簡単に落とせる墨汁を使うのもひとつの手。
ですが、洗濯で簡単に落とせる墨汁は若干色味が異なることがあったり、水がかかると滲んでしまったりするので清書用には適していません。
清書のときはきちんとした墨汁を、練習のときは通常の洗濯で落とせる墨汁を、というように使い分けできると良いですね。
まとめ
筆は使い慣れていないので、大人でも墨汁で衣類や手を汚してしまうので、子どもの場合だと盛大に墨汁のシミを作って帰ってくることがあります。
そんなときは、墨汁に含まれる合成樹脂が乾いてしまう前に洗わなければなりません。
4つの方法をご紹介しましたが、実際に試した方の感想では、意外にもごはん粒で落とす方法が1番効果があったそうですよ。
洗っているうちに墨汁の汚れが拡がってしまわないよう、こまめにすすぎと揉み洗いを繰り返すのがポイントです。
黒いポリエステルの衣類なら汚れが目立たず家庭でも落としやすいのでおすすめです。
色落ちや生地の傷みが気になる方は、染み抜きのプロであるクリーニング店に相談してみてくださいね。