電池が液漏れしたとき、「掃除方法が分からない」「何を使って掃除すれば良いの?」などよく分からない点が多く、そのまま捨ててしまうという方も多いですよね。
しかし電池から漏れた液には、人体に危険性のある成分が含まれており、掃除をしないまま放置したり、誤った掃除をしてしまい、液体や粉が目や皮膚に付着すると失明や火傷の恐れがあります。
そのため、電池の液漏れには「正しい方法」での掃除や取扱いが重要となります。
この記事では、電池の液漏れの掃除方法を知りたい方のために、下記3つのポイントで、正しい電池の液漏れ掃除の方法を解説していきます。
- 【アルコールや酢は使わない】電池の液漏れの掃除方法や電池の捨て方
- 【緑青や茶色】電池の液漏れで機器がサビたときの対処法
- 電池を液漏れさせない方法
電池の液漏れはそのままにしていると大変危険ですので、取扱いに注意しながら対処してください。
【アルコールや酢は使わない】電池の液漏れの掃除方法や電池の捨て方
はじめに…注意事項
電池にはアルカリ乾電池とマンガン乾電池がありますが、どちらも液漏れした際の水溶液や結晶化した粉は劇物指定されているほど刺激が強いものです。
目に入ったり皮膚に付いてしまうと、失明やヤケドの危険があります。
そのため、取扱いの際は素手で触ることは絶対にせず、必ず防水性の手袋や保護メガネ、マスクなどを身に付けて取り扱うように注意してください。
特に結晶化し粉となっている場合は飛散の恐れもありますので、粉を吸い込まないように注意してください。
電気の液漏れの掃除方法や対処方法について、下記の5つの点でまとめます。
- 乾電池が液漏れしたときの電池や機器の掃除方法
- 液漏れした電池の捨て方
- 電池の液漏れに、アルコールや酢での掃除が不要な理由
- 電池が液漏れしたおもちゃやリモコンの対処法
- 液漏れの液や粉が体や衣服に付着してしまったときの対処法
それぞれ解説します。
電池が液漏れしたときの電池や機器の掃除方法
電池が液漏れし、水溶液や粉が電池そのものや機器に付着してしまった際は、まず身体を保護した上で、ティッシュペーパーなどを使って掃除していきます。
準備物・道具
・防水性の手袋
・保護メガネ
・マスク
・大量のティッシュペーパー
・ウエットティッシュ
・雑巾
・綿棒
掃除の手順
- 防水性の手袋、保護メガネ、マスクを身に付ける。
- 大量のティッシュペーパーで水溶液を拭き取る
- 水を含んだ雑巾やウエットティッシュで結晶化した粉を掃除する
- 細かい部分は綿棒を使って掃除する
- 水分が残らないように、ティッシュペーパーで乾拭きする
液漏れした電池を掃除するときは、必ず手袋や保護メガネ、マスクを着用してください。
また液漏れした電池はもう使えないため、必ず掃除したうえで、次にまとめる手順通りに捨ててください。
(参照:パナソニック)
液漏れした電池の捨て方
液漏れした電池はもう使うことが出来ないので、水溶液や粉を掃除してから下記の所定の方法で必ず捨ててください。
【液漏れした電池を掃除後に捨てる手順】
①電池の電極をセロハンテープやビニールテープで絶縁する
出典:電池工業会
②絶縁した電池をその上でビニール袋に入れ、自治体の指示に従って捨てる
液漏れの水溶液や結晶化した粉は身体にとって悪影響を及ぼすことがありますので、必ず掃除後に手順を守って捨ててください。
電池の液漏れの掃除に、アルコールや酢が不要な理由
ネット上などで、電池の液漏れの掃除にアルコール(無水エタノール)や酢を使うと良いという記事が散見されますが、基本的に使わないように注意してください。
なぜなら、下記の点から考えるとアルコール(無水エタノール)や酢は電池の液漏れの掃除に適していないと考えられるからです。
【アルコール(無水エタノール)が電池の液漏れの掃除に適さないと考えられる点】
- すぐ揮発してしまうため、液漏れの液を掃除しきれない可能性がある
- 一部のプラスチック製品は溶かしてしまうことがあるので、機器側に悪影響を与える恐れがある
【酢が電池の液漏れの掃除に適さないと考えられる点】
- 金属を腐食してしまう性質があるので、機器側のバネや接触板に悪影響を与える恐れがある
パナソニックや三菱電機などの電池メーカーや電池工業会では、電池の液漏れの掃除には水を含んだ雑巾などを推奨しており、アルコール(無水エタノール)や酢を使うことについての記述は見当たりません。
以上のことから、電池の液漏れにはアルコール(無水エタノール)や酢は使わず、各メーカーの推奨している通り、ティッシュペーパーや水を含ませた雑巾などで対処するように注意してください。
(関連記事:アルコール(エタノール)の掃除への活用法5選!ただし注意点あり)
電池が液漏れしたおもちゃやリモコンの対処法
電池が液漏れした際、電池はもう使えないので捨てるべきですが、おもちゃやリモコンについては販売店などに一度内部の基盤などを見てもらうことをおすすめします。
なぜなら、液漏れが取りきれない場合や水溶液が基板や内部にまで流れ出てしまった場合は使えない可能性が高いからです。
また、内部に流れてしまった液が外に流れ出てきてしまうこともあり、特におもちゃなど子供が触れるものの場合は大変危険です。
そのため、電池が液漏れしてしまった場合は、その電子機器は破棄するか、販売店などに一度内部の基盤などを見てもらうことをおすすめします。
無理に自分で内部を開けたりすると故障や破損の危険性がありますので、やめてくださいね。
液体や結晶化した粉が身体などに付いたときの対処法
次に、電池の液漏れの水溶液や結晶化した粉が、身体や衣服に付いてしまったときの対処法をまとめます。
マンガン電池、アルカリ電池どちらの成分も劇物指定されていますが、特にマンガン電池よりもアルカリ電池の方が成分が強いので注意してください。
目に入ってしまった場合 | こすらずに水道水など大量のきれいな水で十分に洗った後、すぐに医師の治療を受けてください |
身体に付いてしまった場合 | 大量の水で洗い流してください。その後異常があれば医師の診察を受けてください |
衣服に付いてしまった場合 | ①肌に触れないように脱いで、すぐに液が付着した部分を大量の水で洗い流す ②もう一度普通の洗濯をする ※衣服の素材(自然素材系)によっては変色や素材の劣化が発生する場合がある |
家具・床などに付いてしまった場合 | ①防水性の手袋や保護メガネで身体を保護する ②水溶液が付着直後の場合は大量のティッシュペーパーで液を出来るだけ拭き取る ③水を多く含んだ雑巾または湿らせた大量のティシュペーパーで何度も拭き取る ※家具・床材(畳)の素材によっては表面の変色や劣化が発生する場合があります。 |
(参照:パナソニック)
【緑青や茶色】電池の液漏れで機器がサビたときの対処法
電池の液漏れに伴い、家電製品側の電池のバネや接触板には下記のようなサビが発生することがありますので、下記のように対処してみてください。
- 緑青のサビ…ろくしょうと呼ばれ銅に付着する青緑色のサビ
- 茶色のサビ…液漏れが酸化しサビとなったもの
電池の液漏れのサビは交換か修理が基本
電池の液漏れのサビは上記の2種類がありますが、どちらの場合も付いてしまった場合は交換か修理が基本です。
なぜなら素人が自己流でサビを落とそうとすると、機器側の故障を起こす恐れがあるからです。
そのため、バネや接触板にサビが付いてしまったら、まずは販売店に相談しバネや接触板の交換か修理が可能かを確認してみてください。
自己流対応は自己責任で!
- ヤスリをかける
- サビ取り剤を使用する(KURE5-56など)
- 重曹ペーストを使用する
色々な方法がネット上には散見されますが、上手くいく場合もあれば、機器そのものを壊してしまう可能性もありますので、慎重に対応してくださいね。
電池の液漏れを防ぐ方法
最後に、電池の液漏れを防ぐ方法について、下記の3つのポイントをまとめていきます。
- 電池の液漏れを防ぐ使用方法や保管方法
- 液漏れ保証のある電池を使うのも1つの方法
- マンガン電池は液漏れしにくいというわけではない
それぞれ解説します。
電池の液漏れを防ぐ使用方法や保管方法
電池の液漏れは、使用の際、使用後、保存の際にそれぞれ下記の点に気を付けてみるとある程度防止できます。
【電気の液漏れを防ぐための注意点】
使用の際の注意点 | ・+と-を間違えない ・電池の交換は、一度にすべて行い古いものと新しいものを混ぜない ・1つの機器内での電池は、同じメーカー、同じ種類のものを使う ・表面に傷がある電池は使わない ・使用推奨期限内に使用する ・分解、改造はしない |
使用後の注意点 | ・機器の使用後は、必ずスイッチを切る ・スイッチを切れない機器(時計やリモコンなど)の場合は、定期的に電池を交換する ・長期間使用しない場合は、電池を取り出しておく ・電池を使いきったら、機器から取り出しておく |
保管の際の注意点 | ・電池とネックレスやヘアピン、コイン、鍵などの金属製品と一緒に持ち運んだり保管しない ・直射日光、高温多湿の場所を避けて保管する ・火気に近付けたり、濡らさない ・強い衝撃を加えない |
(参考:電池工業会)
上記のことを守るだけでも、電池の液漏れを防ぐには効果がありますので、ぜひ試してみて下さい。
液漏れ補償のある電池を使うのも1つの方法
液漏れ対策としてもう1つ有効なのが「液漏れ補償のある電池を使う」ということです。
液漏れ補償とは、電池が液漏れ補償のある電池は液漏れしにくい設計となっており、もし液漏れした場合は電池交換、または機器の修理・交換する制度です。
※ただし電池と液もれが生じた機器を調査した結果、除外規定に該当しないと判断した場合に限ります。また、使用推奨期限内の適切な使用に限ります。
代表的な製品は下記マクセルのボルテージです。
どうしても液漏れしたくない機器がある場合などに使ってみてはいかがでしょうか。
マンガン電池は液漏れしにくい?
マンガン電池はアルカリ電池よりも液漏れしにくいという噂がありますが、電池工業会や電池メーカーを調べてみましたが、それについて言及しているものはありませんでした。
なので、マンガン電池がアルカリ電池よりも液漏れしにくいかどうかははっきりと分かっていません。
ただ、マンガン電池とアルカリ電池にはそれぞれメリット・デメリットや向いている機器があります。また、機器によっては電池の種類の指定がある場合もあります。
そのため、機器の指定や電池のメリット・デメリットをよく考え、合致するものを使ってください。
【マンガン電池のメリット・デメリット】
メリット | 電力消費の小さな機器に合う |
デメリット | ・大電流を使う機器には弱い ・販売店が少なく、あまり売っていない |
使用に向いている機器 | ・懐中電灯 ・リモコン ・置き時計 など |
【アルカリ電池のメリット・デメリット】
メリット | ・マンガン電池の2~5倍長持ちする ・大電流を使う機器に強い ・どこにでも売っている |
デメリット | 液漏れの際の液がマンガン電池よりも危険 |
使用に向いている機器 | ・デジカメ ・電動おもちゃなどのモーターを使う機器 |
(参考:電池工業会)
まとめ
この記事では、電池が液漏れした際の掃除掃除方法や捨て方についてまとめました。
実は電池の液漏れの際に付着している水溶液や、液が結晶化して出来る白い粉は人体にとても有毒なので、取扱いには細心の注意が必要です。
液漏れした電池はもう使えないので、防水性の手袋やマスク、保護メガネを着用の上きれいに掃除し、セロハンテープやビニールテープで絶縁してからビニール袋に入れて捨ててください。
また、衣類や家具に付いてしまった場合も、身体を保護してから拭き取ってください。
液漏れの水溶液や粉はおもちゃやリモコンなどの機器に流れ出ている可能性もありますので、電池が液漏れしている際は機器の方も一度販売店などに確認してもらうと安心です。
電池が液漏れしてしまうのは、長時間の放置や+と-の間違い、保管方法などに原因があるので、使い方や保管の仕方に気を付ければある程度防ぐことができます。
また最近では、液漏れしにくい設計の液漏れ補償がついている電池も販売されています。
絶対に液漏れしたくない場合や液漏れしたくない機器がある場合は、そのような電池を使うこともひとつの方法ですので、ぜひ試してみて下さい。