「哺乳瓶を消毒したい」「ジャムを作りたいから瓶を消毒したい」「ふきんやタオルが臭う」などというときは煮沸消毒がおすすめです。
煮沸消毒は、洗剤を使いたくないとき、手軽に消毒したいときにおすすめできる安全な消毒方法なんですよ!
ですが、瓶やタオルなど物によって、何分くらい煮沸を行えば良いのか煮沸消毒の時間がわかりにくいですよね。
そこで今回は、煮沸消毒の目安時間(5~10分)とやり方をはじめ、煮沸消毒の重要なポイントや注意点などを紹介していきます。
また、煮沸消毒できない耐熱性の低い素材を消毒する方法もまとめたので、参考にしてくださいね!
煮沸消毒のやり方と目安時間(素材別)
煮沸消毒できる素材はさまざま。ここからは、素材別に煮沸消毒のやり方と煮沸の目安時間についてご紹介します。
高い温度で長時間消毒した方が、より高い殺菌効果が得られそうですが、素材が傷む恐れがあるので消毒時間は守るようにしましょう。
ジャム容器や哺乳瓶などのガラス容器(煮沸時間5分)
ジャムを入れる容器やガラス製の哺乳瓶は、割れないように煮沸消毒を行いましょう。
- 容器が十分に入る大きさの鍋に、清潔な布を鍋底に敷きましょう。
- 乾燥させる際に使うため、もう1枚清潔な布を用意し、安定するところへ敷いておきましょう。
- ガラス容器を入れたら、水を容器がかぶるくらい入れます。
- 強火で加熱して沸騰したら、5分煮沸させてください。
- 5分経ったら火を止めて、ヤケドに注意しながらトングなどで容器を取り出しましょう。
- あらかじめ用意しておいた布に容器を乗せ、しっかり乾燥させたら完了です。
鍋に布を敷くのは、ガラス容器が揺れて割れないようにするためなので、安全のために必ず敷いておきましょう。
ガラス容器を急に熱湯の中へ入れると、温度差で割れてしまうことがあるので、必ず水の状態から入れるようにしてくださいね。
ゴムパッキンやアルミ製のフタも一緒に煮沸消毒する際は、長時間行うと変形することがあるので2分程度で先にあげて乾燥させましょう。
赤ちゃんグッズなどプラスチック製品(煮沸時間5分)
プラスチックの哺乳瓶やおしゃぶり、タッパーなどのプラスチック製品もガラス容器とほぼ同じ方法で煮沸消毒ができます。
プラスチックなので、ガラス容器と違って沸騰の際に揺れて割れる心配がないので、鍋底に清潔な布を敷かなくてもOK。
100℃で5分煮沸消毒して、清潔な布の上に置いてしっかり乾燥させましょう。
水滴が残りやすいので、水気が残らないよう清潔な布やペーパーなどで拭き取って完全に乾燥させてくださいね。
鍋肌に触れるとプラスチックが変形することがあるので、注意しながら行いましょう。
タオルやふきんなどの布製品(煮沸時間10分)
ふきん、タオル、布マスクなどの布製品も煮沸消毒で殺菌することができます。
- 鍋に殺菌したいものを入れたら水をかぶるくらい入れましょう。
- 強火で加熱し、沸騰したら10分煮沸消毒を行います。
- トングなどで取り出したら水で冷やし、しっかりと絞りましょう。
- 風通しの良い場所で完全に乾燥させて完了です。
さらに殺菌効果、汚れ落とし効果、消臭効果を高めたいなら、重曹を1Lあたり大さじ1杯入れてから火を付けて煮沸消毒するのがおすすめ!
重曹は、加熱するとph値が上がって強めのアルカリ性になるので、素手で触らないようにしましょう。
衣類(煮沸時間10分)
衣類の生乾き臭も菌が原因なので、煮沸消毒で殺菌すれば臭わなくなりますよ。
ただし、煮沸消毒に向いているのは、綿や麻などの素材。念のため洗濯表示を確認しておいてくださいね。
ポリエステルなどの化繊製品、ウールやシルクといったデリケート素材は煮沸消毒に不向きなので気を付けましょう。
- 衣類が十分入る大きさの鍋に衣類と水を入れて沸騰させます。
- 沸騰したら10分煮て煮沸消毒を行ってください。
- ザルなどにあげて水を切り、触れるくらいの温度になったら絞って天日干しして乾かしましょう。
白いものと色柄ものを一緒に煮沸消毒をすると色が移ることがあるので、必ず別で煮沸消毒を行ってくださいね!
包丁・カトラリー・アクセサリーなどの金属製品(煮沸時間5分)
- 金属製品を鍋に入れたら、かぶるくらいの水を入れて沸騰させましょう。
- 沸騰したら5分煮て煮沸消毒を行ってください。
- トングなどで取り出したら、清潔な場所でしっかり乾燥させましょう。
アクセサリーなど小さなものは、なくさないよう洗濯ネットなどに入れて煮沸消毒を行うと安心です。
シリコン製品(煮沸時間10分)
最近は、シリコン製のキッチングッズがたくさん登場していますよね!
丸められるシリコン製のまな板など便利アイテムが多いのですが、煮沸消毒できるのかが気になるところ。
シリコンは、オーブン料理にも使えるほど耐熱性があるので煮沸消毒は問題ありません。10分程度、煮沸消毒を行うことで殺菌効果を得ることができますよ。
煮沸消毒を行う前の重要なポイント
煮沸消毒を行う際は、素材が熱湯に耐えられるか、素材に汚れは付いていないかを確認することが重要なポイントになります。
耐熱温度を確認する
まず確認してほしいのが、消毒したい素材の耐熱温度です。
ほとんどのご家庭の場合、沸騰させて煮沸消毒を行うと思うので、100℃に耐えられる素材であるかを確認しておきましょう。
耐熱温度が100℃未満だと、煮沸消毒を行うと溶けたり変形したり割れたりなどする可能性があるので、ほかの方法で消毒を行ってくださいね。
また、プラスチック製品を煮沸消毒する際は、素材に『ポリカーボネート樹脂』が使用されているものは注意しましょう。
ポリカーボネート樹脂は熱湯に浸けると環境ホルモンが溶け出してしまうため、特にプラスチック製の哺乳瓶などは煮沸消毒を行わないでください。
煮沸消毒の前に汚れは落とす
煮沸消毒を行う前に、消毒したいものの汚れを落としておきましょう。
特に油汚れは、食器用中性洗剤を使って落としておかないと、煮沸消毒しても油を落としきることはできません。
汚れが残っていると、せっかく煮沸消毒しても雑菌が繁殖してしまうので、汚れを落としてから煮沸消毒を行いましょう。
煮沸消毒の注意点
煮沸消毒する際は、耐熱性があるかを確認し、耐熱でない場合はほかの方法で消毒する必要があります。煮沸消毒後の乾燥など、注意点を守って行ってくださいね!
耐熱性でないモノは別の方法で消毒を行う
耐熱性でない素材は、煮沸消毒以外の方法で消毒を行いましょう。
煮沸消毒に向いていない素材は以下の通り。
- 耐熱性のないガラス製品やプラスチック製品
- ナイロンやポリエステルといった化学繊維
- 漆や木製品
- 革製品
これらの素材は煮沸消毒を行うことができないので、後述する熱湯消毒、アルコールや漂白剤などで消毒を行ってくださいね。
煮沸後、容器に付いた水滴は残さない
煮沸消毒を行った後は、水滴が残らないようしっかり乾燥させましょう。
前述のように、ガラス瓶を煮沸消毒すると熱で自然に水滴が蒸発するのですが、プラスチックの場合は水滴が残りやすいものがあります。
触れるくらいの温度になったら、清潔な布やキッチンペーパーなどで水滴を拭き取ってから乾燥させるのがおすすめです。
煮沸消毒とは?昔ながらの安全な消毒方法
煮沸消毒は、今のような洗剤がない時代から行われてきた、お湯だけでできる昔から行われていた消毒方法です。
ここからは、煮沸消毒の効果などについてくわしく解説していきます。
煮沸消毒とは
煮沸消毒とは、哺乳瓶やジャムの容器などのガラス瓶や、タオルやふきんなどを熱湯の中に入れて沸騰させ、雑菌を減少させる消毒方法です。
ジャムなどの保存食品をつくるとき、家庭では保存料などの添加物を使わないですよね。
例えば、容器に雑菌があると保存中に菌が繁殖してしまい、食中毒の原因になるため煮沸消毒は欠かせない工程なんですね。
また、哺乳瓶など積極的に洗剤を使いたくないものもあるでしょう。そんなときに煮沸消毒は、お湯だけで安全に雑菌を減らすことができる方法としておすすめなんです!
煮沸消毒の効果
煮沸消毒ですべての菌を減少させることはむずかしいのですが、例えば、ノロウイルスなどの食中毒の原因菌など、たいていの菌は殺菌することができます。
煮沸消毒については、厚労省によると『80℃で5分以上』煮沸消毒を行うことで殺菌できるとのこと。
厚生労働省:大量調理施設衛生管理マニュアル
沸騰させてその中に消毒したいものを入れて5分以上経過すれば、たいていのものは殺菌できるというワケです。
80℃をずっと保って煮沸消毒させるのは大変なので、素材が100℃の耐熱であれば沸騰したお湯の中に入れてもOK。
気になる場合は、以下にご紹介する動画を観て、80℃のお湯の状態を判断してみてくださいね!
参考動画:お湯の状態と温度
熱湯消毒との違い
80℃のお湯で5分以上浸けることを煮沸消毒といいますが、同じような熱湯消毒という方法もあります。
煮沸消毒との違いは、熱湯消毒は80℃以上のお湯を10秒以上かけて行う殺菌方法であること。
煮沸消毒は熱湯に長く浸ける、熱湯消毒は熱湯をゆっくりとかけるという違いになります。
熱湯消毒は煮沸消毒に比べると殺菌効果はおだやかですが、まな板など煮沸に向かない素材を手軽に消毒できる方法です。
煮沸消毒ができない!煮沸以外の消毒方法
薄いガラス製のものやプラスチック製品などは煮沸消毒を行うことができません。
煮沸消毒以外の方法は、熱湯消毒・アルコール消毒・漂白剤・逆性石けん・電子レンジを使った方法があるので、それぞれの消毒方法をご紹介します。
どの消毒方法も、事前に消毒したいものに対して使えるのか確認してから消毒を行ってくださいね!
熱湯消毒
煮沸消毒と熱湯消毒との違いでも説明したように、熱湯消毒は80℃以上のお湯を10秒以上かけて行う消毒のことをいいます。
長い時間、熱湯に耐えられない素材や、大きくて煮沸消毒ができないものなどが熱湯消毒に向いています。
我が家は、漂白剤が使えない木製のまな板を熱湯消毒しています。
汚れが付いたままだと熱でタンパク質が固まってしまい、汚れが落ちにくくなるので事前に汚れをしっかり落としてから熱湯消毒を行いましょう。
アルコール消毒
- 食器用中性洗剤で汚れをしっかり落としましょう。
- 水気を拭き取り、乾燥させてから全体にアルコール(エタノール)をスプレーします。
- アルコールが乾燥したら完了です。
アルコール除菌は、消毒目的の場合、濃度が70~95%のものを使うようにしましょう。
引火点が13℃前後と低く危険性が高いので、火の気がないのを確認してから使ってください。
- ニスやラッカー塗りの家具などは、表面が白くなったりヒビ割れたりする
- 塗料や接着剤は溶ける可能性
- 革製品は光沢がなくなる可能性
- プラスチック製品のなかには透明でなくなることがある
アルコールを使うと、上記のものは変質してしまう可能性があるので注意しましょう。
漂白剤
衣類や布、食器やドアノブなどの消毒には漂白剤が使えます。
白い衣類や布は塩素系漂白剤が使えますが、色落ちしたくない色柄ものの衣類は酸素系漂白剤を使いましょう。
使用量や消毒時間は、パッケージに記載されている事項通りに行ってください。塩素系漂白剤を使うときは、必ず換気をして素手で触らないようにしましょう。
酸性系のものと混ざると有毒ガスが発生するので、単体で使用するようにしてください。金属は塩素系漂白剤を使うと変色してしまい、基本的に使えないので注意しましょう。
逆性石けん
逆性石けんとは、殺菌目的で洗浄力はない陽イオンの石けんです。
細菌などはマイナスに帯電しているので、逆性石けんの陽イオン界面活性剤が吸着すると死んでしまうんです。(ウイルスには効果がないとされているので注意。)
逆性石けんは、ドラッグストアやネットで手軽に購入することができます。
「ベンザルコニウム塩化物液」「ベンザルコニウム塩化物液」と成分表に記載があれば逆性石けんとして使えるのでチェックしましょう。
食器などを浸け置きで消毒する場合、100~200倍に薄めてから使います。5分ほど置いてから水でよくすすぎ、しっかりと乾燥させましょう。
電子レンジ
電子レンジでの消毒は、煮沸消毒に比べて効果が劣りますが、短期での保存なら電子レンジ消毒でもOKです。
必ず、電子レンジでの加熱に耐えられる素材であるかを確認しておきましょう。
瓶やタッパーを消毒する場合は、水を少し入れてラップを軽くかけて、600Wで1~1分半レンチンします。
熱いので、触れるくらいに冷めてから取り出し、しっかり乾燥させましょう。
耐熱でないフタ、金属製のフタは電子レンジを使うことができないので、煮沸消毒やほかの方法で消毒してくださいね。
(関連記事:保存容器を消毒する方法。特別な道具は必要なし!)
まとめ
煮沸消毒は、昔から行われている安全な消毒方法です。洗剤を使いたくない哺乳瓶などは、煮沸消毒するのがおすすめです。
煮沸消毒にかける時間は、基本的に80℃で5分ですが、素材に合わせて増減するのでご紹介した消毒時間ややり方を参考にしてくださいね。
煮沸消毒ができなくても、ほかの方法で消毒できるので、素材がその消毒方法に耐えられるか事前に確認してから行いましょう。